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急にお湯が出なくなり、確認してみたら灯油タンクが空になっていた……という経験は一度はあるのではないでしょうか。慌てて灯油を補充したのに、エラーが出たままでボイラーが点火しないと、非常に焦ってしまいますよね。
このような時に必要なのが「エア抜き」という作業です。この記事では、石油給湯器が点火しない原因と、誰でも安全にできるエア抜きの正しい手順、注意点を分かりやすく解説します。
「なぜお湯が出ないのか分からない」という方は、まず現在の症状から原因を切り分けましょう。以下のチェック表を参考に、ご自身の状況に該当する項目を確認してください。
| 確認できる症状・状況 | 考えられる主な原因 | まず行うべき対処法 |
|---|---|---|
| 灯油を切らした・給油直後である | 配管への「エア噛み」 | 本記事の手順に従いエア抜きを実施する |
| お湯だけでなく「水」も一切出ない | 断水・止水栓閉鎖・配管凍結 | 水道の元栓確認または自然解凍を待つ |
| リモコンの電源が入らない | 電源プラグ抜け・ブレーカー落ち | コンセントおよび分電盤の確認 |
| エア抜き後も黒煙や異臭がする | 内部部品(ポンプ・点火プラグ等)故障 | 即座に使用を中止し専門業者へ修理依頼 |
石油給湯器が点火しない原因で最も頻度が高いのが、灯油タンクの燃料切れです。タンク内の灯油が底を突くと、ボイラーに燃料が届かなくなり点火できません。また、送油バルブが閉まっている場合も同様です。
給湯器本体の電源プラグが抜けている、あるいは落雷や漏電によってブレーカーが落ちている場合も機器が作動しません。分電盤やコンセントを確認してください。
給水バルブが閉まっているとお湯は作れません。また、冬場の厳しい寒さによって配管内の水が凍結している場合も、お湯が出なくなります。
燃料や電気に問題がない場合は、電磁ポンプや点火プラグなどの内部部品が故障している可能性が高くなります。長年使用している場合は業者への点検依頼が必要です。
灯油切れを起こした直後であれば、十中八九「エア噛み」が発生しています。タンクが空のまま稼働すると配管に空気の壁ができ、給油後も燃料が届かなくなります。この空気を抜く作業(エア抜き)を行わない限り、点火エラーは解消されません。
エア抜き作業は、プラスドライバー1本と雑巾があればご自身で行うことができます。以下の手順に沿って慎重に進めてください。
作業を始める前に、以下の道具を用意します。油で手が汚れたり、灯油が周囲に飛び散ったりするのを防ぐため、事前準備をしっかり行いましょう。
プラスドライバー、不要な雑巾(またはウエス)、紙コップ(油受け用)を用意してください。
安全のため、まずは室内リモコンの電源を切り、給湯器本体の電源プラグをコンセントから抜きます。通電したまま作業を行うと、誤作動や感電の危険性があります。
必ず電源が完全に落ちていることを確認してから、次のステップに進んでください。
灯油が十分に補充されているか確認し、タンク下部にある送油バルブが「開(あける)」の状態になっているか確認します。
バルブが閉まったままだと、どれだけエア抜きを行っても灯油が流れてきません。
給湯器本体の前面カバーのネジを外し、パネルを開けます。ネジは小さいため、紛失しないよう注意して保管してください。
内部には複雑な配管や電子基板が入っていますが、触るのは電磁ポンプ付近のみです。
内部の送油管が繋がっている「電磁ポンプ」の付近を見ると、主に十字型の「エア抜きビス」があります。メーカーによっては手で回せるつまみ形状のものもあります。
位置が分からない場合は、取扱説明書や本体内側の配線図・解説シールを確認してください。
ビスの下に雑巾や紙コップを添えた状態で、ドライバーを使ってビスを反時計回りに2〜3回転ほど軽く緩めます。
ビスを完全に外してしまうと灯油が噴き出しますので、少し緩める程度にとどめてください。
ビスを緩めると「プシュー」という音とともに、気泡が混ざった白濁した灯油が流れ出てきます。
出てきた灯油は紙コップや雑巾でしっかり受け止め、本体内部にこぼれないようにします。
気泡が完全になくなり、透明で綺麗な灯油だけが一定して流れ出るようになったら、すぐにビスを時計回りにしっかりと締めます。
締め付けが甘いと、使用中に灯油が漏れ出す原因になりますので、確実に締めてください。
こぼれた灯油を雑巾で綺麗に拭き取ります。カバーを閉めて電源プラグを挿し、お湯を出して正常に点火するか確認します。
一度で点火しない場合は、リモコンの電源を入れ直して再度お湯を出してみてください。
自己対処の際、一歩間違えると火災や故障に繋がる恐れがあるため、以下の点は必ず守ってください。
ビスを最後まで回して外してしまうと、灯油が勢いよく噴き出して収拾がつかなくなります。軽く緩めるだけで十分です。
万が一外れてしまった場合は、慌てずにタンクの送油バルブを閉めて灯油の供給を止めてください。
給湯器内部に灯油が溜まったままだと、稼働時の熱や火花で引火し、火災になる危険性があります。
金属部分や配管に付着した灯油は、雑巾やペーパータオルで念入りに拭き取ってください。
必ず電源を切り、給湯器が完全に停止した安全な状態で作業を行ってください。
ポンプが稼働している最中にビスを緩めると、圧力がかかって灯油が飛び散る危険があります。
ビスが酷く錆びていて回らない場合や、すでに内部へ大量の灯油が漏れ出している場合は、無理に触らず直ちに専門業者を呼んでください。
固着したビスを無理にドライバーで回すと、ネジ山が潰れたりビスが折れたりして、ポンプごとの高額交換が必要になる場合があります。
基本的な原理は同じですが、メーカーによってエア抜きビスの位置や便利機能に若干の違いがあります。
前面パネルを開けると、下部にある電磁ポンプ部分にエア抜きビスが分かりやすく配置されています。
フィルター(オイルストレーナー)が一体型になっているモデルが多く、見つけやすい構造になっています。
電磁ポンプの側面にプラス(+)ネジの形をしたエア抜きピンがあることが多いです。
機種によっては、透明なビニールホースを繋いで周囲を汚さずに空気を抜ける親切設計のものもあります。
ネジ式ではなく、手で簡単に回せる「エア抜きつまみ」が搭載されている機種が多く、工具なしでも比較的作業が簡単です。
つまみを反時計回りに回し、気泡がなくなったら時計回りに締めるだけのシンプルな手順です。
最近のハイグレードモデルの中には、灯油を補充して電源を何度か入れ直すだけ、あるいはボタンを押すだけで自動で空気を排出する「自動エア抜き機能」が搭載されているものもあります。
手動でのエア抜き作業が不安な方や、頻繁に灯油切れを起こしてしまう方は、こうした自動機能付きの最新機種へ買い替えるのも一つの選択肢です。
空気を完全に抜いたにも関わらず、依然としてエラーが出る場合は、燃料切れ以外の故障が併発している可能性が高いです。
一時的なシステムエラーの可能性があるため、プラグを抜いて5分ほど待ってから再度電源を入れてみます。
安全装置が誤作動しているだけであれば、このリセット操作で正常に戻ることがあります。
灯油タンクから給湯器に入る手前にあるフィルターが、ゴミや水分の混入で詰まっている可能性があります。
ストレーナーのカップ内に水や汚れが溜まっている場合は、掃除や水抜きを行う必要があります。
エア抜きやストレーナー確認後もエラーが消えない、または点火時に黒煙や異常なニオイ(焦げ臭いなど)がする場合は、内部部品(ポンプ、点火プラグ、基盤など)の故障が疑われます。
直ちに使用を中止し、メーカー修理窓口や専門業者に連絡して点検を受けてください。
どうしても自分で解決できず業者を呼ぶ場合、想定される大まかな費用相場は以下の通りです。
費用相場:約 8,000円〜15,000円程度
部品交換を伴わない、作業員による点検や簡易的なエア抜き・清掃作業の場合の料金です。
費用相場:約 15,000円〜30,000円程度
点火プラグやフレームロッド(光電管)などの消耗部品を交換する場合の費用目安です。
費用相場:約 20,000円〜40,000円程度
燃料を送り出す電磁ポンプや制御基板など、主要部品を交換する際の費用です。
費用相場:約 15万円〜35万円以上
設置環境や給湯器の号数(容量)、機能(フルオート等)によって価格は大きく変動します。
ご自身で勝手に修理業者を手配する前に、必ず大家さんや管理会社へ連絡し、指示を仰いでください。
無断で修理してしまうと、後日修理費用の負担を巡ってトラブルになるケースがあります。経年劣化による故障であれば、大家さん側で費用負担してもらえるのが一般的です。
エア抜きという面倒な手間を省き、給湯器の寿命を縮めないためには、何よりも「灯油が底を突く前に給油する習慣」が一番大切です。
毎週〇曜日は「灯油の油量ゲージを確認する日」と決めておきましょう。
特に使用量が増える冬場は、ゲージが半分を切ったら早めに補充するよう心がけると安心です。
寒冷地では、業者が定期的に残量をチェックして自動で給油してくれるおまかせ配達サービスを利用すると非常に便利です。
自分で重い灯油を運ぶ手間も省け、灯油切れによるボイラー停止のリスクを完全にゼロにできます。
いちいち外に出て確認するのが面倒な場合は、灯油が一定量を下回ると室内のブザーやランプで知らせてくれる「残量センサー(警報器)」をタンクに取り付けるのもおすすめです。
後付けできる製品も多く販売されているため、うっかり忘れが多いご家庭には非常に効果的です。
石油給湯器が点火しない時は、焦らずまずは灯油タンクの残量と「エア噛み」の有無を確認しましょう。
手順通りにエア抜きを行えば、多くの場合ご自身でお湯を復旧させることができます。ただし、ビスの固着や漏油がある場合、あるいはエア抜き後もエラーが消えない場合は無理をせず、早めに専門業者やメーカーへ点検を依頼してください。